古い国産のオール合板製アコースティックギターの人気は根強いようで、ジャパンヴィンテージと呼ばれて、ヤマハのFGシリーズの最初期で赤ラベル・黒ラベルが貼られた頃のギターは、入門機にもかかわらず、発売当時の定価の5倍という値段がついていた時期もあったそうです。
そんなに有難い物なのか?私も当初は理解出来なかったのですが、たまたま赤ラベル・黒ラベルの後継に当たる、余り評価の高くないオレンジラベル期のFG-201Bという発売当時2万円のギターをハードケース込みで約1万円で手に入れて、少し考えが変わりました。
個体差は有るのでしょうが、音量が大きい。繊細な音量コントロールには不向きかもしれませんがとにかく音量が大きい。
ふくよかなボディの鳴りや倍音豊かで高温の煌びやかな残響感などは無いのですが、音量が大きい。これだけで、演奏者としては気持ちの良い事です。
特に、中低音のじゃきっとした押し出しは特徴的で、こうした音色に魅せられる人が多いのも頷けます。
もう一本、モーリスのW-25を持っていますが、じゃじゃ馬のようなFGとは全くキャラクターが異なり、バランスが良いうえに、サスティーンが心地よく、当時の定価で2万5千円とは思えないギターです。
こんなギターが中古だと数千円から1万円以下で買えるので、当時の国産入門機恐るべしです。モーリスは価格もこなれていますしね。というか、ヤマハのFGの一部機種の中古相場が高騰しすぎなのかな?
なおモーリスについては、1969年製のW-23と1974年製のW-25も持っていましたが、1972年に芳野楽器からモーリス楽器製造に社名変更した辺りで内部構造が全く変わっており、サウンドキャラクターも全く異なっていましたので、参考までに。
こうした国産の中古入門機は、この時期のギターにしか出せない味わいに加え、安価なものも多いので、改造・リペアのベースとして、自分でナットやサドル、ブリッジピン、ペグを交換する楽しみも有ります。
前提としては、ネックの元起きや捻れの無い物、フレットがちやんと残っている個体を入手することが大前提ですが、演奏以外の楽しみも趣味としては大切な要素ですからね。
私はこの程度で止めましたが、じゃあ1960年代のFGは?とか、東海は?、グレコは?、タマは?なんていう具合に、深みに嵌りそうで怖い分野ですね。