蓮な日記

LotusのF1が好きなので蓮な日記としましたが、音楽、靴などのテーマで綴ります。

アコギの名盤紹介その1中島みゆき「あ・り・が・と・う」

自分の好きなアコースティックギターサウンドが聴けるアルバムの中から、中島みゆき1977年発売のサードアルバム「あ・り・が・と・う」を紹介してみたいと思います。

おそらく中島みゆき本人が弾いていると思われるアコースティックギターと歌のバックを、坂本龍一、のちに沢田研二を支えるベーシスト吉田健、ジャズギタリスト杉本喜代志、浅川まきの専属ドラマーだった小松崎政雄といった勢いのあるミュージシャンが支えます。

何てことのないフォークソングのアルバムのようでいて、編曲者としてクレジットされている日本を代表するサウンドエンジニアの吉野金次の影響が大きい骨太なサウンドが魅力です。

A面(タイトルの後は編曲者)

  1. 「遍路」 吉野金次・・・中島みゆきのシンプルなスリーフィンガとベースラインに、音数は少ないけれど以外にロックなベースが被さり、間奏では杉本喜代志の軽快なソロが楽しめます。かなり悲惨な振られ女の自虐的な内容の歌詞ををあっけらかんと歌う中島みゆきのボーカルとの対比が味わい深い曲です。
  2. 「店の名はライフ」 吉野金次・福井峻・・・野太いバスドラム吉田健のプルが多用されたロックなベースに、箱鳴りの聞こえるシンプルなアコギがかっこいい。
  3. 「まつりばやし」 福井峻・・・父の死をモチーフとした作品(コンサートのMCより)。かなり早いテンポのアルペジオに四分音符の6弦・5弦のベース音が鳴り続ける印象的な曲。イントロ・間奏ではこのアルペジオに加え同時に鳴らすメロディーラインが加わり、難易度の高い弾き語りです。
  4. 「女なんてものに」 吉野金次・福井峻・・・歌謡曲フォーマットながら、特徴的なAメロのアルペジオと、遠くで鳴るタムタムフィルイン、情熱的なガットギターのソロ。歪むぎりぎりのレベルで録音されたような音圧感が吉野金次らしさを感じます。

B面(タイトルの後は編曲者)

  1. 「朝焼け」 吉野金次・福井峻・・・この曲もバスドラ、ベースのコンビーネーションに坂本龍一のエレピのソロが当時のクロスオーバーサウンドを感じさせる名演奏です。
  2. 「ホームにて」 福井峻・・・後に大ヒットシングル「わかれうた」のB面としてシングルカットされた名曲。この曲を弾きたくてアコギを始めた方も多いのではないでしょうか?下降するベースラインの美しいアルペジオとシンプルなプリングオフとハンマリングオン。間奏部分のアルペジオにかぶせるさりげないメロディは中島みゆきの真骨頂。
  3. 勝手にしやがれ」 吉野金次・・・いかにもフォークギターと言った弾き語りに、吉田健の骨太なベースが絡みます。
  4. 「サーチライト」 吉野金次・福井峻・・・吉田健のゴリゴリしたベースを土台にしたバンドサウンドに絡むホーンセクションが魅力的。
  5. 「時は流れて」 吉野金次・福井峻・・・泣くような中島みゆきのボーカルですが、バックのサウンドはこのアルバムの統一感を感じるライブ感があり、単なるフォークソングのアルバムと一線を画す、締めに相応しいサウンドです。

このアルバムから、「生きていてもいいですか」までは、骨太サウンド時期と勝手に思ってます。現代のサウンドからすると物足りないと感じるかもしれませんが、それなりの音量で是非聴いてください。